ホームページの保守費用は何に払っているのか|内訳と見直し方
公開 HPの困りごと相談室 編集部(株式会社AKIMA)確認:代表取締役 仲井 陽英
中小企業のホームページリニューアル完全ガイド第8章 / 全10章
先に結論
ホームページの保守費用は、サーバー・ドメイン・SSLの更新、WordPressなどのCMSとプラグインの更新、バックアップ、監視、軽微な修正、問い合わせ対応をまとめた費用です。公開されている例では月5,000円程度から5万円程度まで幅があり、差は「どの作業が入っているか」で生まれます。高い・安いは金額ではなく、含まれる作業の一覧と実際の作業の記録で判断してください。解約や乗り換えの前には、ドメインとサーバーの名義、メールの動いている場所を必ず確かめます。
目次
保守費用の中身:毎月何に払っているのか
「保守費」は、ホームページを止めずに動かし続けるための費用をまとめた呼び名です。ただ、同じ「保守」という名前でも、何を含むかは会社によって違います。まずは、保守費に入っていることが多い作業を一つずつ分けて見てください。
項目 | 何をする作業か | 止まるとどうなるか | 金額の例 | 自社でもできるか |
|---|---|---|---|---|
サーバー | ホームページのデータを置く場所を借りて、動かし続ける | ホームページが表示されなくなる | レンタルサーバーで月1,000〜4,000円程度(アイミツ) | 契約は自社名義でもできる |
ドメイン | 会社のアドレス(○○.co.jpなど)を毎年更新する | ホームページもメールも止まる | 年1,000〜5,000円程度、.jpは年2,000〜5,000円程度(アイミツ) | 自社名義で持つのが安心 |
SSL証明書 | 通信を暗号化する証明書を更新する | ブラウザに警告が出て、お客様が開けなくなる | 無料の証明書もある(Let's Encrypt) | サーバー会社の自動更新に任せられることが多い |
CMS・プラグインの更新 | WordPressなどの更新の仕組みと、その追加部品(プラグイン)を新しい版にする | 弱点が残り、乗っ取りや改ざんに使われるおそれがある | 単独の金額の例は出典なし | 管理画面でできるが、更新で表示が崩れることもある |
バックアップ | データを定期的に別の場所へ写しておく | 壊れたときに元に戻せない | 単独の金額の例は出典なし | サーバーの機能で自動化できることがある |
監視 | 表示が止まっていないか、改ざんされていないかを見張る | 止まっていることに気づくのが遅れる | 単独の金額の例は出典なし | 外部の監視サービスを使う方法もある |
軽微な修正 | 文章や写真、電話番号などの小さな差し替え | 情報が古いまま残る | 1回5,000〜1万5,000円ほど、新しいページの追加は3万円以上(アイミツ) | CMSがあれば自社でできる部分も多い |
問い合わせ対応 | 「表示がおかしい」「メールが届かない」といった相談に答える | 困ったときの相談先がない | 単独の金額の例は出典なし | 相談先を別に持つのは難しい |
金額の例は、比較サイトのアイミツの保守費用の記事によるもので、目安です。監視やバックアップ、問い合わせ対応は、ほかの項目とまとめて月額に含まれることが多く、単独の値段は出ていません。
サーバー・ドメイン・SSLは、止まるとすぐにお客様の目に触れます。CMSの更新とバックアップは普段は見えませんが、何かあったときの被害が大きい部分です。WordPressの公式の案内でも、WordPressは常に最新の版に更新すべきだとし、更新の前にはバックアップを取るよう勧めています。
自社が払っている中身を確かめる3つの方法
保守費の金額が妥当かを考える前に、今払っている保守費に何が入っているかを確かめます。社内の書類と、外から見える状態の両方を使います。
1. 請求書と契約書を並べる
毎月・毎年の請求書を、届いている先ごとに並べます。サーバー会社やドメインの会社から別に請求が届いているなら、制作会社への保守費にはそれが入っていない可能性が高い、と見当がつきます。契約書や見積書に「保守」の内訳があれば、それが正式な範囲です。
2. 制作会社に一覧で出してもらう
書類で分からなければ、上の表の8項目をそのまま制作会社に見せて、「どれが含まれていて、どれが別料金か」を一覧で答えてもらうのが早道です。特に、CMSとプラグインの更新を誰がいつしているか、バックアップをどこに何世代残しているか、修正は月に何回までか、の3つは聞いておきたい点です。
3. 外から見える状態を確かめる
保守がきちんと行われているかは、外からある程度分かります。AKIMAのHP年齢診断では、URLを入れると、SSL証明書の有効期限、ページの中に版が書かれている場合はWordPressが古い版のままか、サポートが終わったPHPやサーバーソフトで動いているように見えるか、弱点が知られている古い部品(jQuery)を使っているか、安全のための基本設定(セキュリティヘッダー)、サイトの中のいちばん新しい日付などを判定します。保守費を払っているのにこうした項目で古いものが見つかる場合は、保守の範囲に更新作業が入っていないか、入っていても行われていない可能性があります。
反対に、ドメインの名義やバックアップの有無、契約の中身は外からは判定できません。ここは書類と制作会社への確認で埋めてください。
保守費が高いか安いかの判断
保守費には国などが出している公式の相場はありません。公開されている例を見ると、アイミツの記事では、最低限の管理で月5,000〜1万円程度、更新・バックアップ・セキュリティ対策まで含めると月1万〜5万円程度としています。制作会社のNT CREATIONのコラムでも、保守・更新代行を月1万〜5万円としています。
幅が大きいのは、中身が違うからです。金額だけで高い・安いを決めず、「何をしてもらって、いくらか」で考えます。
今の状態 | 考えられること | 確かめること |
|---|---|---|
月数千円で、サーバーとドメインの代金だけ | 安いが、更新や修正は入っていないことが多い | CMSの更新とバックアップを誰がしているか |
月1万〜数万円で、更新・バックアップ・修正まで入っている | 公開されている例の範囲に近い | 修正の回数や範囲、実際に更新されているか |
月数万円を払っているが、何をしているか分からない | 中身に対して高い可能性がある | 作業の記録(いつ何を更新したか)を出してもらう |
保守契約がなく、誰も何もしていない | 費用はかからないが、止まったときに対応できない | SSLとドメインの更新日、管理画面に入れるか |
高いと感じたら、毎月の作業の記録を確かめます。何もない月も同じ金額なのは、見張りや待機の費用として珍しくありません。ただ、CMSが何年も更新されていないなら、払っている中身と作業が合っていません。安いと感じたら、止まったときの対応と、追加の修正の値段を確かめます。
保守費だけでなく、制作費とあわせた総額で考えたい場合は、ホームページリニューアルの費用相場と内訳で見積もり全体の見方を、月額制のホームページ制作とはで保守込みの月額制と買い切りの比べ方を説明しています。
契約書・保守の取り決めで見る点
保守の契約で後から困るのは、範囲があいまいなまま払い続けていることです。契約書や保守の取り決めに、次の点が書かれているかを確かめてください。書かれていなければ、書面で出してもらうよう頼みます。
- 含まれる作業の一覧:サーバー、ドメイン、SSL、CMSとプラグインの更新、バックアップ、監視、修正、問い合わせ対応のどれが入っているか
- 修正の範囲と回数:月に何回まで、どの程度の修正までが料金の中か。超えたらいくらか
- 更新の頻度:CMSやプラグインをどのくらいの間隔で更新するか。更新で表示が崩れたら誰が直すか
- バックアップの取り方:どのくらいの間隔で、どこに、何世代残すか
- 止まったときの対応:連絡してから何日以内に対応するか。休日はどうか
- 名義:サーバーとドメインが誰の名義で契約されているか
- 契約期間と解約:最低の契約期間、自動更新、解約の申し出の期限、途中でやめるときの費用
- 解約したときに渡されるもの:サイトのデータ、管理画面のID、ドメインの移し替えへの協力
バックアップの目安として、WordPressの公式の資料では、更新の少ないサイトは週に1回、更新の多いサイトは毎日を目安にし、少なくとも3〜5世代を、サーバーの上だけでなく複数の場所に分けて残すよう勧めています。保守の契約でバックアップが「あり」とだけ書かれているなら、この目安と比べて聞いてみてください。
解約・乗り換えで気をつけること
乗り換えや、保守をやめて自社で管理する場合は、順番が大切です。先に解約すると、ホームページやメールが止まることがあります。
- 名義を確かめる:ドメインとサーバーが自社名義か、制作会社名義かを確かめます。制作会社名義なら、解約の前に移し替えの相談が要ります。ドメインの名義の調べ方はドメインの管理者を確認する方法で説明しています
- メールがどこで動いているかを確かめる:会社のメールが、ホームページと同じサーバーで動いていることがあります。その場合、サーバーの解約でメールも止まります
- データとIDを受け取る:サイトのデータ(ファイルとデータベース)と、管理画面の管理者のIDを受け取ります
- 新しい先で動くことを確かめる:乗り換え先で表示とお問い合わせフォームを確かめてから、切り替えます
- 最後に解約する:切り替えが終わり、メールも届くことを確かめてから、元の保守契約を解約します
ドメインやメールの設定を変えるときは、今入っている設定を消さずに残すことが基本です。AKIMAが2026年10月に自社サイトを公開したときも、ドメインを登録している会社(バリュードメイン)の管理画面で、既存のメールや認証の設定を消さずに残し、新しいサイト用の設定とSearch Console・メール送信サービス(Resend)の認証の記録だけを追記しました。ドメインそのものを別の会社へ移す手続きは会社のドメインを移管する手順と注意点にまとめています。
なお、保守をやめても、サーバー代とドメイン代はかかり続けます。「作業を自社でやる」に変わると考えてください。
ケース別の判断
月に数万円を払っているが、何をしてもらっているか分からない
制作会社に、含まれる作業の一覧と、この半年の作業の記録を出してもらいます。納得できれば続け、記録が出てこない、CMSが何年も更新されていないなら、範囲の見直しか乗り換えを考えます。
保守契約をしておらず、サーバーとドメインだけ払っている
SSLの更新、CMSとプラグインの更新、バックアップを誰もしていないかもしれません。社内に管理画面を触れる人がいれば、自社で更新とバックアップを担当する方法があります。いなければ、更新とバックアップだけでも保守を頼むほうが安全です。自社で更新する場合の体制の作り方はホームページを自分で更新できるようにするにはで説明しています。
制作会社と連絡がつきにくくなった
先にドメインとサーバーの名義、管理画面のIDを自社で押さえられるかを確かめてください。進め方は制作会社と連絡が取れない・倒産したときにやることにまとめています。
保守費を払うより、作り直したほうがよいか迷っている
古いWordPressやPHPのままでスマホでも読みにくいなら、保守し続けるより作り直したほうが早いことがあります。作り直すかどうかの判断軸は中小企業のホームページリニューアル完全ガイドで説明しています。
参考までに、AKIMAの「HPもう、つくってます」は、サーバー・SSL・保守と軽微な修正を月額に含めています。料金は初期費用0円・月額19,800円(税別)で、契約期間は12か月、12か月ごとに自動更新します。契約期間中に解約する場合は、残りの月数分の月額を一括で支払います。初月(お申し込み日から1か月)は無料で、その期間中はいつでも0円で解約できます。お申し込みにはクレジットカードの登録が必要です。詳しくは料金のページをご覧ください。
よくある質問
保守契約をやめたら、ホームページはすぐに消えますか?
保守契約だけをやめて、サーバーとドメインの契約が自社で続いていれば、すぐには消えません。ただし、サーバーやドメインが保守契約とひとまとめで制作会社の名義になっている場合は、解約と一緒に止まることがあります。解約の前に名義を確かめてください。
WordPressの更新は、自分でボタンを押せば済みますか?
管理画面からボタン一つで更新できることが多いですが、プラグインやデザインとの相性で表示が崩れることがあります。更新の前にバックアップを取り、崩れたときに戻せるようにしておくのが前提です。それを自社で担えないなら、更新作業を保守に含めてもらうほうが安心です。
SSLは無料のものでも大丈夫ですか?
通信を暗号化する役割は、無料の証明書でも果たせます。Let's Encryptは、ホスティング会社が対応していれば取得から自動更新まで代わりに行ってもらえると案内しています。保守費にSSLの代金が入っているなら、どの証明書か、自動更新かを聞いてみてください。
この記事の一次情報
・「外から見える状態を確かめる」で挙げた項目は、AKIMAのHP年齢診断が実際に判定している項目です(SSL証明書の有効期限、ページの中に版が書かれている場合のWordPressの古い版、サポートが終わったPHP・サーバーソフト、古いjQuery、セキュリティヘッダー、サイト内のいちばん新しい日付)。ドメインの名義・バックアップ・契約の中身は判定していないことも分けて書きました。 ・ドメインとメールの設定を消さずに足す手順は、AKIMAが2026年10月に自社サイトを公開したときに、バリュードメインで既存のメール・認証のレコードを消さずに残し、新しいサイト用の設定とSearch Console・Resendの認証TXTだけを追記した実際の作業です。 ・AKIMAの料金は実際の条件です(初期費用0円・月額19,800円税別、サーバー・SSL・保守と軽微な修正を含む、契約12か月・自動更新、期間中の解約は残月数分を一括、初月無料で期間中は0円解約、クレジットカード登録必須)。
