工務店のホームページに載せるべきこと|施主が見ているページ
公開 HPの困りごと相談室 編集部(株式会社AKIMA)確認:代表取締役 仲井 陽英
中小企業のホームページリニューアル完全ガイド第9章 / 全10章
先に結論
工務店のホームページで施主が確かめているのは、①自分の家を頼めるか(施工事例・対応エリア)、②いくらぐらいでどう進むか(費用の目安・家づくりの流れ)、③任せて大丈夫な人たちか(会社と人・お客様の声・保証)の3つです。まずは施工事例、対応エリア、費用の目安、スマホで押せる問い合わせの入口の4つをそろえてください。デザインを新しくしても、元のHPにない情報は増えません。写真と説明を集める仕組みを先に決めることが大切です。
目次
施主は工務店のホームページで何を確かめているか
施主(家を建てる・直すお客様)は、問い合わせる前に工務店のホームページを開き、主に次の3つを確かめます。
確かめていること1:自分の家を頼めるか
得意な仕事が、自分の建てたい家・直したい場所と合っているか。自分の家が対応エリアに入っているか。施工事例と対応エリアのページで判断します。
確かめていること2:いくらぐらいで、どう進むか
費用の目安と、相談から引き渡しまでの流れ。ここが分からないと「高そう」「しつこく営業されそう」と感じ、問い合わせの前に離れてしまいます。
確かめていること3:任せて大丈夫な人たちか
社長や大工、担当者の顔と言葉、建てた人の声、引き渡した後の対応。家は建てた後も付き合いが続くので、人柄とアフターの姿勢が決め手になりやすいところです。
AKIMAのHP年齢診断では、会社のHPに「会社概要・事業やサービス・料金・実績や事例・お客様の声・よくある質問・アクセス・採用・お問い合わせ」の9種類のページがあるかを数え、3種類以下なら情報が大きく足りない状態として扱っています。工務店の場合、このうち料金、実績・事例、お客様の声の3つが特に問い合わせを左右します。HP全体の古さの見分け方はホームページが古いと感じたらで説明しているので、この記事では工務店が「何を載せるか」に絞ります。
載せる情報の一覧と優先度
工務店のホームページに載せる情報を、施主が知りたい順に並べました。優先度Aは、ないと問い合わせがほぼ来ない情報です。Bは比べられたときに差がつく情報、Cは余力ができたら足す情報です。
載せる情報 | 優先度 | 施主が判断すること | 載せ方のコツ | よくある失敗 |
|---|---|---|---|---|
施工事例 | A | 自分の家に近い仕事をしているか | 1件ごとに「地域・築年数や延床面積・工事の内容・期間・費用の幅」を添える | 写真だけが並び、何の工事か分からない |
対応エリア | A | 自分の家が対象か | 市町村名で書く。「〇〇市から車で30分圏内」など | 「地域密着」とだけ書いて地名がない |
費用の目安 | A | 予算に合いそうか | 事例ごとの費用の幅、坪単価の考え方、見積もりに含まれるもの | 「お見積りは無料です」だけで目安がない |
問い合わせの入口 | A | 気軽に連絡できるか | スマホで押せる電話番号と、フォーム。何を書けばよいかの例も | 電話とFAXだけ。フォームがない |
家づくりの流れ | B | 何回会って、いつ何を決めるか | 相談・現地調査・プラン・見積もり・契約・着工・引き渡しを、期間の目安と一緒に | 「お気軽にご相談ください」で終わる |
会社と人 | B | 任せられる人たちか | 社長と大工・担当者の顔写真、名前、資格、ひとこと | 建物の写真ばかりで人が出てこない |
お客様の声 | B | 建てた人は満足しているか | 本人の許可を取り、言葉を作り替えずに。地域と工事の内容を添える | 名前も工事も分からない一文だけ |
保証・アフター | B | 建てた後も見てもらえるか | 点検の時期、連絡先、法律で決まった保証と自社の保証を分けて書く | 「アフターも安心」とだけ書いて中身がない |
モデルハウス・見学会 | C | 実物を見られるか | 開催日、場所、予約の方法。終わった見学会は消すか「終了」と書く | 何年も前の見学会の案内が残っている |
全部を一度にそろえる必要はありません。まずAの4つをそろえ、Bは施主が2〜3社を比べる段階で効いてくる情報として足していきます。
費用の目安は「幅」で書いてよい
「家ごとに違うので金額は書けない」という声はよく聞きます。それでも、施工事例に「総額〇〇万〜〇〇万円」「水まわり4点の入れ替えで〇〇万円前後」のように、実際に請け負った仕事の幅を添えるだけで、施主は自分の予算と比べられます。金額は税込か税別か、何が含まれているか(解体、設計、諸費用など)も一緒に書いてください。
保証は「法律の保証」と「自社の保証」を分けて書く
新築住宅は、住宅品質確保法で、引き渡しから10年間、構造の主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分について、請け負った会社が責任を負うと決められています。また、住宅瑕疵担保履行法により、新築住宅を請け負う建設業者には、その責任を果たせるよう保険への加入か保証金の供託が求められます。これは新築住宅を請け負う会社に共通の決まりです。ホームページでは、この法律上の保証と、自社独自の定期点検や延長保証を分けて書くと、施主が他社と比べやすくなります。自社の保証の中身は、契約書や保証書の内容と合わせてください。
架空の工務店のHPをつくり直して分かったこと
AKIMAのサイトのBefore/Afterでは、架空の工務店(有限会社 杉本工務店。会社名・内容とも架空です)の昔ながらのHPを、AKIMAのサービスで実際につくり直しています。つくり直す前のHPには、次のような状態がありました。
- 左のメニューが12個並び、何から見ればよいか迷う
- 新着情報のいちばん新しい日付が2014年
- 見積もりの受付は「お電話・FAXにて」で、フォームがない
- アドレス欄に「保護されていない通信」と出る
- 「創業昭和47年」「自社大工6名」「改修工事の実績1,200件以上」「壊す前に、直せる所を探します」という強みが、ページの下のほうに小さな箇条書きで置かれている
つくり直した後のHPでは、この強みを上に引き上げ、「1972年 創業」「6名 大工」「1,200件 改修の実績」と数字で見せる形にしました。「壊す前に、直せるところを探します」という一文も、最初の画面の近くに置いています。電話と「現地を見てもらう」相談のボタンは、スマホでもいつでも押せる位置にあります。
ここから分かるのは、工務店の強みは、すでに今のHPのどこかに書いてあることが多いということです。足りないのは情報そのものより、施主が見る順番に並べ直すことです。
一方で、元のHPになかった情報は、つくり直しても足せません。この架空の工務店の元のHPには、費用の目安やお客様の声のページがなく、つくり直した後の画面にもそれらはありません。表の優先度Aにある費用の目安や、Bのお客様の声は、工務店の側から材料を出してもらう必要があります。デザインより先に、表のうち自社が材料を持っている項目を確かめてください。
施工事例の写真の撮り方
施工事例の写真はスマホで十分に撮れます。大事なのは、施主が「自分の家だったら」と想像できる写真をそろえることです。
- 同じ位置から、工事の前と後を撮る:着工前に、後で同じ構図で撮れるよう立ち位置を決めておきます。Before/Afterが並ぶと、何を直したかが一目で伝わります
- 明るい時間に、照明をつけて撮る:室内は昼間に、カーテンを開け、部屋の照明もつけます。窓を背にすると暗く写るので、窓を横にして撮ります
- 横向きで、少し引いて撮る:部屋全体が分かる1枚と、手すりや収納などこだわった所の寄りの1枚を組み合わせます
- 工事の途中も撮る:基礎や断熱、補強など、完成すると見えない部分は丁寧さを伝える材料になります
- 写してはいけないものを確かめる:表札、車のナンバー、近所の家、室内の私物や家族写真は、写らないようにするか、載せる前に消します。施主の許可は撮る前に取り、HPに載せてよいかも確かめます
写真には、「〇〇市・築35年・木造2階建て・水まわりと断熱の改修・工期6週間」のような説明を必ず添えてください。写真だけでは、施主は何の工事かを判断できず、検索でもページの中身が伝わりにくくなります。
更新を続けるための仕組み
施工事例が数年前で止まっていると、施主は「今も営業しているのか」と不安になります。続けるコツは、更新を現場の流れに組み込むことです。
- 引き渡しの日に、1件分の材料をそろえる:前後の写真、地域、工事の内容、工期、費用の幅、施主のひとこと。この6つを決まった用紙やスマホのメモに書くことにします
- 載せる担当と日を決める:「毎月第1月曜に、先月引き渡した分を載せる」のように決めます。事務の担当が写真と説明を入れるだけでも十分です
- 自分で載せられる仕組みにしておく:施工事例を追加するたびに制作会社へ頼んで費用がかかる仕組みだと、更新は止まりがちです。自分で載せられるようにする方法はホームページを自分で更新できるようにするにはで紹介しています
- 古い情報を消す:終わった見学会、変わった料金、辞めた社員の紹介は、見つけたら消すか直します
ケース別の判断
HPはあるが、施工事例が数年前で止まっている
作り直す前に、ここ1〜2年の事例を5件ほど足すことから始めます。手元に写真があれば、説明を添えるだけで載せられます。事例を足す方法が分からない、頼むと毎回費用がかかる、という場合は、更新の仕組みごと見直す時期です。
新築より、リフォーム・改修の相談を増やしたい
改修では「この家は直せるのか」「住みながら工事できるか」「いくらかかるか」が先に来ます。工事の前後が分かる事例と、場所ごとの費用の幅、現地調査の流れを優先して載せてください。
スマホで読みにくく、問い合わせはほとんど電話
スマホで工務店を探す施主にとって、スマホで電話番号が押せない、フォームがない、という状態なら、載せる情報を足す前に、HP全体の作り直しを考える段階です。進め方は中小企業のホームページリニューアル完全ガイドにまとめています。今のHPの状態はHP年齢診断でURLを入れると確かめられます。
大工や職人を採用したい
施主向けの情報とは別に、採用のページが要ります。働く人の顔や一日の流れなど、求職者が見る情報は採用につながるホームページガイドで説明しています。
住宅より、元請や法人からの仕事が中心
読み手が施主ではなく、取引先や発注者になります。許可や実績、安全への取り組みの見せ方が中心になるので、建設会社のホームページの作り方を参考にしてください。
制作を頼む前に自社で決めておくこと
次の質問に答えを出しておくと、打ち合わせが早く進み、見積もりも正確になります。
- いちばん増やしたい相談は、新築・リフォーム・改修のどれですか
- 対応エリアは、どの市町村までですか
- 施工事例に使える写真は、何件分ありますか。施主の掲載許可は取れていますか
- 費用の目安として出せる金額の幅はありますか
- 公開した後、事例を載せるのは誰ですか
費用の考え方はリニューアルの費用相場と内訳を、AKIMAの月額制の料金と条件は料金のページをご覧ください。AKIMAの「HPもう、つくってます」は、今のHPにある情報からリニューアル案を先につくってご案内するサービスで、初期費用0円・月額19,800円(税別)です。契約は12か月ごとの自動更新で、期間中に解約する場合は残りの月数分を一括でお支払いいただきます。初月は無料で、その間は0円で解約でき、お申し込みにはクレジットカードの登録が必要です。
よくある質問
施工事例が少なくても、HPに載せたほうがよいですか?
載せたほうがよいです。3件でも、地域・内容・費用の幅が書かれた事例は、施主にとって判断の材料になります。件数が少ないうちは、1件ごとの説明を丁寧にし、工事の途中の写真を多めに入れると、仕事の中身が伝わります。
費用を載せると、他社に安く出されて不利になりませんか?
心配なら、総額ではなく事例ごとの費用の幅から始めます。金額がまったく書かれていないことのほうが、施主が問い合わせをためらう理由になりやすく、目安があれば予算の合わない相談が減る面もあります。
InstagramやGoogleの口コミがあれば、HPは要りませんか?
SNSは新しい事例を知らせるのに向いていますが、対応エリアや費用の目安、保証のような「まとまった情報」を探すには不向きです。SNSで知った工務店を、HPで確かめる施主もいます。SNSからHPの事例や問い合わせへ移れるようにしておくのがおすすめです。
この記事の一次情報
・AKIMAのHP年齢診断で実際に数えている「お客様が知りたいページ9種類」(会社概要・事業やサービス・料金・実績や事例・お客様の声・よくある質問・アクセス・採用・お問い合わせ。3種類以下で要対応)をもとに、施主が見る情報と優先度を整理しました。 ・「架空の工務店のHPをつくり直して分かったこと」は、AKIMAのサイトのBefore/Afterで、架空の工務店(有限会社 杉本工務店。会社名・内容とも架空)のHPをAKIMAのサービスで実際につくり直したものを見て書いています。つくり直す前のHP(メニュー12個、新着情報の最新が2014年、見積もりは電話・FAXのみ、「保護されていない通信」の表示、強みが下のほうの箇条書き)と、つくり直した後のHP(創業年・大工の人数・改修の実績を数字で上に表示、電話と相談のボタンを常に表示)の違いは、実際の画面のとおりです。
