建設会社のホームページの作り方|取引先と求職者に見られる所
公開 HPの困りごと相談室 編集部(株式会社AKIMA)確認:代表取締役 仲井 陽英
中小企業のホームページリニューアル完全ガイド第10章 / 全10章
先に結論
建設会社のホームページは、元請・発注者、協力会社、求職者、近隣住民が「取引してよいか」「働いてよいか」を確かめる場所です。まず、いちばん見てほしい相手を一つ決めます。そのうえで、会社概要に建設業許可(一般・特定の別、許可番号と業種、商号、代表者名)を正しく載せ、施工実績、資格ごとの人数、安全への取り組みを具体的に書きます。許可の掲示が法律で決まっているのは店舗と現場ですが、HPに載せておくと取引先が確かめやすくなります。
目次
建設会社のホームページは、誰に見られているか
建設会社のHPは「仕事を取るための看板」というより、「この会社と取引してよいか」「働いてよいか」を確かめられる場所です。見に来る人は主に4種類で、知りたいことがそれぞれ違います。
見る人 | 見に来るきっかけ | 確かめたいこと | 載せる情報 | ないと起きること |
|---|---|---|---|---|
元請・発注者 | 見積もりや下請の依頼の前、新しい取引の前 | 許可の業種と区分、施工の実績、技術者の数、安全の管理 | 建設業許可(業種・一般/特定・許可番号)、工事の実績、保有資格の人数、安全の取り組み | 電話で一から説明を求められる。比べる候補から外れる |
協力会社 | 応援や下請の打診を受けたとき | どんな現場か、支払いや取引の進め方、連絡先 | 主な工事の種類と地域、協力会社募集の案内、窓口の担当 | 新しい協力会社が見つからない |
求職者 | 求人サイトやハローワークで求人を見た後 | 会社が実在するか、仕事の中身、働く人、資格の支援 | 採用ページ、現場と社員の写真、資格取得の支援、募集要項 | 応募の前に離れる |
近隣住民 | 家の近くで工事が始まったとき | どの会社が、いつまで、何の工事をしているか。困ったときの連絡先 | 会社の所在地と電話、工事についての問い合わせ窓口 | 苦情がそのまま発注者や役所に向かう |
4種類すべてに同じ重さで応える必要はありません。公共工事の元請なら発注者、専門工事の下請が中心なら元請と協力会社、人手不足が一番の悩みなら求職者というように、仕事の取り方でいちばん大事な読み手が変わります。まず一つ決めてください。
個人のお客様から住宅の新築やリフォームを受ける会社は、読み手が施主になります。その場合の載せ方は工務店のホームページに載せるべきことにまとめています。
建設業許可の載せ方
元請や発注者にとって、建設業許可は取引してよい相手かを判断する、いちばん基本の材料です。
法律で掲示が決まっているのは、店舗と現場
建設業法第40条では、建設業者は店舗と、発注者から直接請け負った工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識(いわゆる許可票)を掲げなければならないとしています。標識に書く事項は建設業法施行規則第25条で決まっていて、店舗では次の4つ、現場ではこれに5つ目が加わります。
- 一般建設業か特定建設業かの別
- 許可年月日、許可番号、許可を受けた建設業
- 商号または名称
- 代表者の氏名
- (現場のみ)主任技術者または監理技術者の氏名
この条文が求めているのは店舗と現場での掲示で、ホームページへの掲載を義務づけるものではありません。ただ、取引先がHPで許可を確かめようとしたときに見つからないと、問い合わせて確かめる手間がかかります。HPの会社概要にも、店舗の標識と同じ4つの事項を載せておくのがおすすめです。
書き方の例と、気をつけること
会社概要には、たとえば次のように書きます。「建設業許可:〇〇県知事許可(般-〇)第〇〇〇〇号 土木工事業、とび・土工工事業、舗装工事業」。許可は業種ごとに受けるもので、国土交通省によると業種は29種類あります。受けている業種をすべて正しく書いてください。
- 大臣許可か知事許可か:営業所が2つ以上の都道府県にあれば大臣許可、1つなら知事許可です。国土交通省は、どちらでも工事をする場所に制限はないとしています。「県内のみ」と誤解される書き方は避けます
- 一般か特定か:元請として下請に出す金額が大きい場合に特定建設業の許可が要ります(基準額は2025年2月に引き上げ)。業種ごとに一般・特定が違えば書き分けます
- 有効期間:許可の有効期間は5年です。更新したら許可年月日を書き換えます。古いままだと、確かめた取引先が「切れているのでは」と不安になります
許可の情報は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」でも、許可番号、商号、代表者名、所在地、業種、有効期限などを調べられます。HPに書いた内容が、このシステムで見える内容と食い違っていないか、一度確かめてください。
許可がない、または軽微な工事だけの会社
国土交通省によると、建築一式工事なら1件の請負代金が1,500万円未満(または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)、それ以外の工事なら500万円未満の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は、許可がなくても営業できます。許可を持っていない場合は、許可があるような書き方をせず、請け負える工事の範囲を正しく書いてください。
施工実績・保有資格・安全への取り組みの載せ方
許可が「取引してよい会社か」を示すのに対し、実績・資格・安全は「この仕事を任せられるか」を示します。
施工実績は「表」と「写真つきの事例」の2段で
取引先が知りたいのは、同じ種類・規模の工事をしてきたかです。全部を写真つきにする必要はありません。
- 実績の一覧表:年度、工事の名前(または種類)、発注者の種別(官公庁・民間など)、地域、自社の立場(元請・一次下請など)を並べます
- 写真つきの事例:代表的な工事を数件選び、工事の内容、工期、自社が担当した範囲、工夫した点を書きます
発注者の名前や工事の名前を載せるときは、発注者や元請の了解を取ってください。了解が取れない工事は名前を伏せ「〇〇市内 物流倉庫 新築工事(鉄骨造)」のように書く方法もあります。
保有資格は「人数」で書く
1級・2級の施工管理技士、建築士、技能士などの資格は、「1級土木施工管理技士 〇名」のように、資格ごとの人数で書きます。現場に置く主任技術者や監理技術者になれる人がどれだけいるかは、元請や発注者が気にする所です。人数は年に一度、総務で数え直し、「〇年〇月時点」と添えます。
公共工事を発注者から直接請け負う会社は、建設業法第27条の23により経営事項審査を受けることになっています。経営事項審査を受けている会社は、受けている旨と、どの業種で受けているかを会社概要に添えておくと、発注者が確かめやすくなります。
安全への取り組みは「やっていること」を書く
「安全第一」の言葉だけでは中身が伝わりません。実際にやっていることを、写真と一緒に書きます。
- 朝礼や危険予知(KY)活動、安全大会、パトロールの頻度と様子
- 新しく入った人への安全教育の内容
- 熱中症や重機作業など、自社の工事で特に気をつけていることと、その対策
- 受けた表彰や、取り組んでいる認証(実際に受けているものだけ)
無災害の日数などの数字は、社内の記録で確かめられるものだけにし、更新の日付を添えます。
採用情報の載せ方
求人サイトやハローワークで求人を見た人は、応募の前に会社のHPで「本当にある会社か」「どんな人が働いているか」を確かめることがあります。建設会社の採用ページでは、次の点が特に見られます。
- どんな現場で、どんな仕事をするか(工事の種類、1日の流れ、現場への移動)
- 資格の取得への支援(受験の費用、資格手当など)と、未経験から一人前までの道筋
- 一緒に働く人の顔と言葉
求人の条件をHPに書くときは、職業安定法で決まった明示の事項や、求人情報を正確で最新に保つルールがあります。詳しくは採用につながるホームページガイドで厚生労働省の資料をもとに説明しています。ページの具体的な組み立て方は採用ページの作り方を参考にしてください。
建設会社のホームページを作る手順
次の順で進めると、途中で止まりにくくなります。
- いちばん見てほしい相手を決める:発注者・元請・協力会社・求職者のうち、今いちばん困っている相手を決めます。トップページの最初に置く情報が変わります
- 会社の基本の情報をそろえる:許可通知書の写し、資格者の一覧、主な機械など。総務の手元の書類から集められます
- 実績を一覧にする:過去5年ほどの工事を表にして、HPに載せてよいものに印をつけます。発注者や元請の了解が要るものは、ここで確かめます
- 写真を集める・撮る:現場、施工の途中、完成、働く人、安全の取り組み。足りない写真は、次の現場で撮る担当を決めます
- ページの構成を決める:会社概要(許可を含む)、事業内容、施工実績、安全・品質、採用、お問い合わせ(近隣の方向けの窓口も)
- 制作を頼む、または作る:依頼先の選び方はホームページ制作会社の選び方にまとめています
- 公開前に確かめる:許可番号や資格者の人数の誤り、スマホでの表示、フォームが届くか
- 更新の担当と時期を決める:許可の更新、資格者の人数、実績、募集の終了を、年に一度見直す月を決めます
今あるHPを作り直す場合は、ドメインやサーバーの名義の確認が先になります。確かめ方はドメインの管理者を確認する方法で、リニューアル全体の進め方は中小企業のホームページリニューアル完全ガイドで説明しています。
元のHPにない情報は、作り直しても出てこない
AKIMAのサイトのBefore/Afterでは、架空の工務店(会社名・内容とも架空)の昔ながらのHPを、AKIMAのサービスで実際につくり直しています。元のHPの会社概要は会社名・所在地・電話とFAX・営業時間・創業の5行で、建設業許可の行がなく、つくり直した後の画面にも許可番号は出てきません。今のHPをもとに作り直す場合でも、元のHPにない許可や資格者の人数は、会社から出してもらって足す必要があります。手順2で書類をそろえるのはこのためです。
ケース別の判断
公共工事の元請が中心で、HPは会社概要だけ
発注者が見るのは、許可、経営事項審査、技術者の数、実績です。デザインを変える前に、会社概要に許可の4つの事項と資格者の人数を足し、実績の一覧表を1ページ作ることから始めます。これだけでも、確かめに来た人が知りたいことにはかなり答えられます。
専門工事の下請が中心で、元請からの紹介で仕事が来る
紹介を受けた新しい元請が、HPで会社を確かめることがあります。許可の業種、対応できる工事と地域、保有機械、連絡の窓口をはっきり書きます。協力会社を増やしたいなら、協力会社募集のページを別に作ります。
人手不足で、まず採用を立て直したい
会社全体より先に、採用ページを用意する方法があります。求人サイトの文と採用ページの内容をそろえ、現場と働く人の写真を入れます。会社のHP自体がスマホで読めない、「保護されていない通信」と出る場合は、採用ページだけ新しくしても信用が下がるので、HP全体の状態をHP年齢診断で確かめてから決めてください。
制作の前に社内で確かめる質問
- 受けている許可の業種、一般・特定の別、許可番号、許可年月日は、最新の許可通知書と合っていますか
- 許可の更新や資格者の人数が変わったとき、HPを直すのは誰ですか
- 実績に名前を出してよい工事はどれですか。発注者や元請の了解は取れますか
- 近隣の方からの問い合わせは、どの電話やメールで受けますか
- 今いちばん困っているのは、受注、協力会社、採用のどれですか
AKIMAの「HPもう、つくってます」は、今のHPにある情報からリニューアル案を先につくってご案内するサービスで、初期費用0円・月額19,800円(税別)、採用ページはオプションで月額9,800円(税別)です。契約は12か月ごとの自動更新で、期間中に解約する場合は残りの月数分を一括でお支払いいただきます。初月は無料で、その間は0円で解約でき、お申し込みにはクレジットカードの登録が必要です。詳しくは料金のページをご覧ください。
よくある質問
建設業許可の番号は、ホームページに載せないといけませんか?
建設業法第40条が標識の掲示を求めているのは店舗と、発注者から直接請け負った工事の現場で、ホームページへの掲載を義務づける条文ではありません。ただ、HPで許可を確かめようとする取引先もいるので、会社概要に載せておくことをおすすめします。
実績に発注者の名前を出してもよいですか?
発注者や元請の了解が取れたものだけにしてください。契約で秘密を守る約束をしている工事もあります。了解が取れない場合は「〇〇市内 工場 増築工事」のように、地域と種類だけで書く方法があります。
近隣の方からの苦情の窓口をHPに書くと、苦情が増えませんか?
窓口が分からないと、苦情が発注者や役所に向かうことがあります。会社に直接届けば早く対応できるので、お問い合わせのページに「工事に関するお問い合わせ」の窓口を書いておくと受け止めやすくなります。
この記事の一次情報
・「元のHPにない情報は、作り直しても出てこない」は、AKIMAのサイトのBefore/Afterで、架空の工務店(会社名・内容とも架空)のHPをAKIMAのサービスで実際につくり直したものを見て書いています。元のHPの会社概要は会社名・所在地・電話とFAX・営業時間・創業の5行で建設業許可の行がなく、つくり直した後の画面にも許可番号は表示されていません。
