ドメイン移管の手順と注意点|会社のメールを止めない進め方
公開 HPの困りごと相談室 編集部(株式会社AKIMA)確認:代表取締役 仲井 陽英
先に結論
ドメイン移管は、ドメインを登録している事業者を替える手続きです。サイトを新しいサーバーへ移すだけなら移管は要らず、DNSのWeb用の設定を変えれば足りることが多いです。移管するときは、WHOISで登録者と期限を確かめ、今のDNSレコードを書き出してから、ロック解除→認証コード(AuthCode)の受け取り→移管先への申し込み→承認、の順で進めます。期限まで1か月を切っていたら先に更新します。メールの設定を消すと会社のメールが止まるので、レコードは消さずに残すのが原則です。
目次
ドメイン移管とは:よく混同される4つの「変更」の違い
ドメインは、インターネット上の会社の住所にあたるものです(例:〇〇.co.jp)。ドメインは、登録を受け付ける会社(登録事業者。.jpでは「指定事業者」と呼びます)を通して登録・更新します。「ドメイン移管」とは、この登録事業者を別の会社に替える手続きのことです。
ところが実際には、「制作会社を替えたい」「サイトを新しいサーバーに移したい」という場面でも「移管」という言葉が使われます。目的によって必要な手続きは違うので、まずどれに当たるかを確かめます。
やること | 何が変わるか | こういう場合に使う | メールへの影響 |
|---|---|---|---|
ドメインの移管(登録事業者の変更) | ドメインの更新料を払う先、管理画面 | 更新料をまとめたい。前の制作会社の契約から自社の契約へ移したい | DNSの設定が移管元のサービスにあると、移したあと消えることがある |
登録者・管理者の変更 | ドメインの持ち主として登録されている名義 | 名義が前の制作会社や退職した社員になっている | 名義の変更だけなら、通常は影響しない |
ネームサーバーの変更 | DNSの設定をどのサービスで管理するか | DNSの管理を別のサービスへまとめたい | 今のレコードを新しい側に写さないと、メールが止まる |
DNSレコードの変更・追記 | サイトやメールの「向き先」 | サイトだけを新しいサーバーへ移したい | Web用の行だけを変え、メール用の行に触れなければ影響しない |
ホームページを作り直してサーバーを替えるだけなら、多くの場合、移管は要りません。DNSレコードのうち、Webの向き先だけを変えれば足ります。移管が本当に必要になるのは、「更新料を払う契約そのものを、別の事業者や自社名義の契約へ移したい」ときです。
移管の前に確かめる5つのこと
移管でつまずくのは、手続きそのものより、事前の確認が漏れていたときです。申し込む前に、次の5つを確かめます。
1. 今の登録事業者と、登録者の名義
.jpドメインなら、JPRS(.jpドメインの登録を管理している会社)のWHOISで、ドメイン名の登録情報を検索できます。登録者の名前が自社になっているか、前の制作会社の名前になっていないかを見ます。WHOISへの反映は最長で1日かかる場合があるので、変更した直後の情報は少し遅れて出ることがあります。
2. ドメインの有効期限
汎用JPドメイン名(〇〇.jp)や属性型(〇〇.co.jp)は、登録した日の1年後の月末が有効期限で、廃止しなければ1年ずつ自動で更新されます。期限の直前は、移管の手続きが期限までに終わらなかったり、移管元の更新料の支払いと重なったりしやすい時期です。期限まで1か月を切っているなら、先に今の事業者で更新してから移管するほうが安全です。
3. 今入っているDNSレコードの一覧
DNSレコードは、「サイトはこのサーバー」「メールはこのサービス」といった向き先を書いた行のことです。メールの受け取り先(MXレコード)、迷惑メール対策の記録(SPFなどのTXTレコード)、Googleなどの所有確認のTXTレコードが入っていることが多く、1行でも消えるとメールが届かない、送ったメールが迷惑メール扱いになる、といったことが起きます。移管の前に、今の管理画面の内容を画面ごと保存しておきます。
4. DNSをどこで管理しているか
登録事業者とDNSの管理先が同じサービスの場合、移管すると、そのサービスのDNSが使えなくなることがあります。移管先で同じレコードを入れ直してからネームサーバーを切り替える順番にしないと、メールやサイトが止まります。
5. 管理画面に入れるか、連絡がつくか
移管には、移管元の管理画面での操作か、移管元への依頼が要ります。ID・パスワードが分からない、制作会社と連絡がつかない場合は、まずそこを解決します。
ドメイン移管の手順
画面や呼び名は事業者ごとに違うので、移管先の案内とあわせて読んでください。
- 移管元でロックを解除する:ドメインには、勝手に移されないためのロックがかかっていることがあります。.jpドメインの「指定事業者変更ロック」が設定されていると、指定事業者の変更は申請できないので、先に解除します。
- 移管元で認証コード(AuthCode)を受け取る:認証コードは、そのドメインの持ち主であることを示すパスワードのようなものです。移管元の管理画面で発行するか、移管元に依頼して通知してもらいます。
- 移管先に申し込む:申し込みは移管先の事業者に行い、このとき認証コードを入力します。移管元に申し込むのではない点に注意します。
- 移管の承認に答える:.jpドメインでは、JPRSから移管元に意思の確認が依頼され、登録者は移管元に「承認」か「不承認」を答えます。承認すると手続きが完了します。案内のメールを見落とさないよう、受け取れるアドレスを登録しておきます。
- 移管先でDNSを確かめる:手続きが終わったら、移管先の管理画面でネームサーバーとDNSレコードが元どおりかを、保存しておいた一覧と照らし合わせます。
- メールとサイトを実際に確かめる:社外のアドレスから会社宛てにメールを送り、届くかを見ます。会社から社外へも送ってみます。サイトが「https://」で開けるかも確かめます。
JPRSの案内では、指定事業者の変更は開始から終了まで数日かかる場合があるとしています。余裕をもって進めてください。
.jpドメインと、.comなどのドメインの違い
移管の決まりは、ドメインの種類によって管理する団体が違います。会社でよく使う2つの系統を比べます。
項目 | .jp・.co.jp など(JPドメイン名) | .com・.net など(gTLD) |
|---|---|---|
決まりをつくる団体 | JPRS | ICANN(各事業者はICANNの移管ポリシーに従う) |
手続きの呼び名 | 指定事業者の変更 | レジストラ間の移管(トランスファー) |
認証コード | 移管元から通知されたものを使う。生成日の翌日を1日目として35日後が有効期限で、切れたら発行し直し | 移管元が持ち主に渡すか、持ち主が自分で発行できる仕組みを用意する決まり |
移管できない主な場面 | 指定事業者変更ロックやレジストリロックが設定されているとき | 登録から60日以内、前の移管から60日以内は、移管元が断ることができる。登録者の変更のあとは原則60日間移管できない |
期限への影響 | (JPRSの案内では、移管で期限が延びるとは書かれていない。移管先に確かめる) | 移管が終わると登録期間が1年延びる(合計で10年を超えない) |
co.jpなどの属性型JPドメイン名では、担当者の情報(JPNICハンドル)を移管先で新しく作る必要があり、移管元の担当者情報は変更の完了後に使えなくなる、とJPRSは案内しています。co.jpは日本国内で登記している会社が登録でき、原則として1つの組織で1つしか登録できないドメインです。作り直しがききにくいので、移管先の案内どおりに慎重に進めます。
.comなどで「登録者の変更」と「移管」を同時にしようとすると、60日間移管できなくなることがあります。名義を直したいだけなら、先に名義の変更を済ませ、移管は必要になってから行うのが無理のない順番です。
メールとDNSレコードを消さないために
移管やサーバーの切り替えでいちばん多い事故は、メールが止まることです。HPと会社のメールアドレスは同じドメインで動いているため、Webのための作業がメールに響きます。
AKIMAが2026年10月に自社サイトを公開したときは、ドメインの移管はせず、ドメインを管理しているバリュードメインの管理画面で、DNSレコードを追記しました。Googleのメールの受け取り先(MX)、Googleの所有確認、既に使っていたサブドメインの記録などの既存のレコードは消さずに残し、新しいサイト(Vercel)へ向けるための行と、Search Consoleや問い合わせフォームのメール送信サービス(Resend)の認証に使うTXTレコードを足す、という順番です。SSL証明書は公開先で自動的に発行されました。サイトを新しくするだけなら、このように移管をせずに済む場合が多くあります。
どうしても移管やネームサーバーの変更をする場合は、次の点を守ります。
- 作業の前に、今のレコードをすべて書き出す:MX、TXT、CNAME、Aなどの種類と値を、管理画面の画面ごと保存します。
- 「消して入れ直す」より「足す」:分からない行は消さずに残します。用途が分からないレコードほど、何かの認証に使われていることがあります。
- 切り替えは移管先に同じレコードを入れてから:新しい側の準備ができてからネームサーバーを切り替えます。
- 営業時間外に切り替え、翌日に送受信を確かめる:DNSの変更が行き渡るまで時間がかかることがあるので、問い合わせの少ない時間帯を選びます。
ケース別の判断
ドメインの名義が前の制作会社のままで、連絡がつく場合
まず登録者の名義を自社に変えてもらうよう依頼します。そのうえで、今の事業者のままでよいか、自社で契約している事業者へ移管するかを決めます。依頼は記録が残るメールで行います。
制作会社と連絡がつかない場合
WHOISで登録事業者を調べ、その事業者に、登録者として手続きできる方法を相談します。名義が制作会社のままだと、本人確認の書類などを求められ、時間がかかることがあります。期限が近いなら、更新が止まらないことを最優先にします。
サイトを作り直して、サーバーだけ替えたい場合
移管は不要なことが多いです。今の管理画面でWeb用のレコードだけを新しいサーバーに向け、メール用のレコードには触れません。
更新料を払う先を1つにまとめたい場合
移管が向いています。期限まで1か月以上ある時期を選び、DNSの管理先がどこになるかを先に決めてから申し込みます。
よくある質問
移管するとホームページが見られなくなる時間はありますか?
登録事業者の変更だけなら、DNSの設定が同じであれば、サイトやメールは止まらないのが通常です。止まるのは、移管と同時にネームサーバーが変わり、新しい側にレコードが入っていない場合です。保存しておいた一覧と照らし合わせてから切り替えてください。
期限が切れてしまったドメインも移管できますか?
期限が切れたドメインは、移管より先に回復の手続きが要ります。JPドメイン名の場合、期限(月末)を過ぎると、汎用JPドメイン名は1か月間、属性型は6か月間、すぐには削除されない状態になります。この状態になった月の1日から20日までに回復の申請をすれば、元に戻せるとJPRSは案内しています。期限切れに気づいたら、すぐ今の事業者に連絡してください。
認証コードを社外の人に教えても大丈夫ですか?
認証コードは、ドメインを移すための鍵です。移管を頼む相手以外には教えないでください。メールで受け取った場合も、移管が終わるまでは社内で扱いを決めておきます。
次に確かめること
移管の前に、SSL証明書の期限もあわせて確かめておくと、切り替えの前後で警告が出るのを防げます(SSL証明書の期限が切れたときの対処)。ドメイン・SSL・警告・契約を順に見直すなら自社ホームページの総点検ガイド、ドメインとメールのほかの困りごとはドメイン・メール・サーバーの困りごとにまとめています。
AKIMAのHP制作では、ドメインの移管は行わず、今のドメインとメールのまま、Webの表示先だけを切り替えます。メールの設定に触れないことは公開前に確かめます。今のHPの状態はHP年齢診断で、ドメインの扱いを含めたご相談はお問い合わせから受け付けています。
この記事の一次情報
・AKIMAが2026年10月に自社サイトを公開したときは、ドメインの移管はせず、バリュードメインの管理画面で既存のDNSレコード(GoogleのメールのMX、Googleの所有確認、既存のサブドメインの記録など)を消さずに残し、新しいサイト(Vercel)へ向ける行と、Search Console・Resendの認証用TXTレコードを追記しました。SSL証明書は公開先で自動発行されました。 ・AKIMAのHP制作では、ドメインの移管は行わず、Webの表示先だけを切り替え、メールの設定に触れないことを公開前に確認しています(サービスの実際の進め方)。
