AKIMA

DMARCの設定方法|会社のメールが迷惑メールにされないために

公開 HPの困りごと相談室 編集部(株式会社AKIMA)確認:代表取締役 仲井 陽英

自社ホームページの総点検ガイド第12章 / 全13章

先に結論

DMARCの設定は、会社のドメインのDNSに「_dmarc」という名前のTXTレコードを1行足すだけです。ただし前提として、メールを送っている仕組みごとにSPFかDKIMが通っている必要があります。最初は「p=none」(何もせず記録だけ)で始め、届く報告を見て自社の正しいメールがすべて通るのを確かめてから、quarantine(迷惑メール扱い)、reject(拒否)と段階的に強めます。DNSの画面はホームページやメールの受け取り先の設定と同じなので、既存の行は消さずに足してください。

目次
  1. 1SPF・DKIM・DMARCの役割の違い
  2. 2なぜ今、DMARCの設定が求められているのか
  3. 3自社の設定を確かめる方法
  4. 4DNSにDMARCを足す手順:p=noneから段階的に
  5. 5ホームページのDNS設定と同じ画面:既存のレコードを消さない
  6. 6メールを送るサービスが複数ある場合
  7. 7ケース別の判断
  8. 8よくある質問
  9. 9次に確かめること

SPF・DKIM・DMARCの役割の違い

メールが本当にその会社から送られたものかを、受け取る側が確かめる仕組みを送信ドメイン認証といい、代表がSPF・DKIM・DMARCです。どれも、会社のドメイン(○○.co.jpなど)のDNS(ドメインの設定を書いておく場所)に、TXTレコードという文字の行を足して設定します。

SPFとDKIMで「本物かどうか」を確かめ、DMARCで「確かめられなかったメールをどう扱ってほしいか」を受け取る側に伝える、という組み合わせで働きます。

名前

一言でいうと

DNSのどこに書くか

受け取る側が確かめること

ないとどうなるか

SPF

このドメインのメールを送ってよいサーバーの名簿

ドメインそのもの(○○.co.jp)のTXT。「v=spf1」で始まる

送ってきたサーバーが名簿に載っているか

正しいメールでも、迷惑メール扱いされやすくなる

DKIM

メールに付ける電子の署名

メールのサービスが指定する名前(「○○._domainkey」など)のTXT

署名が正しく、途中で書き換えられていないか

送ったのが本人か、書き換えられていないかを示せない

DMARC

確かめられなかったメールの扱い方の指示と、結果の報告先

「_dmarc.○○.co.jp」のTXT。「v=DMARC1」で始まる

SPFかDKIMで確かめたドメインが、差出人のドメインと一致しているか

自社を名乗る偽のメールを、受け取る側で止めてもらえない

DMARCには、確かめられなかったメールの扱いを3段階で書きます。「p=none」は何もせず届けて記録だけする、「p=quarantine」は迷惑メールとして扱う、「p=reject」は受け取りを断る、という意味です。

Google Workspaceのヘルプでは、DMARCを有効にする前に、SPFとDKIMの少なくとも一方を設定しておく必要があるとしています。

なぜ今、DMARCの設定が求められているのか

Gmail・Yahooの送信者ガイドライン

Googleは、2024年2月1日から、Gmailのアカウントにメールを送るすべての送信者に、SPFかDKIMの設定を求めています。1日5,000件を超えて送る送信者には、SPFとDKIMの両方、DMARC(ポリシーはnoneでもよい)、差出人のドメインとSPFかDKIMのドメインの一致などを求めています。米国のYahoo(Yahoo Mail)も、2024年2月から同じような条件を示しており、大量に送る送信者には、少なくともp=noneのDMARCを公開することを求めています。

1日5,000件を超えなくても、認証のないメールは届きにくくなる流れです。見積もりや請求書のメールが迷惑メールフォルダに入ると、気づかないまま話が止まります。

なりすましメールへの対策

SPFやDMARCがないドメインは、そのドメインを差出人にした偽のメールを送られやすい状態です。2023年2月には、総務省・警察庁・経済産業省が、フィッシング(偽のメールでだまして情報を盗む手口)の被害が増えていることを受けて、クレジットカード会社などに、メールを送らないドメインも含めたDMARCの導入と、偽のメールを拒否する設定での運用を求めました。カード会社向けの要請ですが、自社を名乗る偽のメールから取引先を守る考え方は、どの会社にも当てはまります。

自社の設定を確かめる方法

1. HP年齢診断で、SPFとDMARCがあるかを見る

AKIMAのHP年齢診断では、ホームページのURLを入れると、そのドメインに公開されているDNSの情報から、「v=spf1」で始まるSPFの行と、「_dmarc」の「v=DMARC1」で始まる行を読み取り、次のように判定します。

HP年齢診断の結果

今の状態

次にやること

SPF・DMARCがない(重い指摘)

会社のドメインを名乗る偽のメールを、誰でも送りやすい

メールのサービスを洗い出し、SPFから設定する

DMARCがない(注意)

SPFはあるが、偽のメールを受け取る側で止めてもらう指示がない

この記事の手順で、p=noneのDMARCを足す

DMARCが「様子見」のまま(注意)

DMARCはあるがp=noneで、偽のメールは止まらない

報告を見て、quarantine、rejectへ進める

SPFがない(注意)

DMARCは止める設定だが、送ってよいサーバーの名簿がない

正しいメールが迷惑メールにされないよう、SPFを足す

設定されている

SPFがあり、DMARCがquarantineかreject

メールのサービスを増やしたときに見直す

DKIMは判定していないので、次の方法で確かめます。また、他社のサービスのドメインを借りたアドレス(○○.example.comなど)のサイトや、DNSの情報が読み取れなかったときは、推測で判定せず、この項目を出しません。

2. 自社から送ったメールで確かめる

会社のアドレスから自分のGmailにメールを送り、パソコンのGmailで開いて、返信ボタンの横のメニューから「メッセージのソースを表示」を選びます。画面の上のほうに、SPF・DKIM・DMARCの結果(PASSなど)が出ます。フォームの自動返信や請求書の送信サービスなど、仕組みごとに試します。

DNSにDMARCを足す手順:p=noneから段階的に

いきなり「拒否」にすると、設定の漏れていた自社の正しいメールまで届かなくなるおそれがあります。Google Workspaceのヘルプも、様子を見ながら段階的に強めるよう案内しています。

  1. 会社のドメインで送っている仕組みを洗い出す:社員のメール(Google WorkspaceやMicrosoft 365、レンタルサーバーのメールなど)、ホームページの問い合わせフォーム、請求書や見積書の送信サービス、メールマガジンなど。
  2. SPFとDKIMを整える:洗い出した仕組みが、それぞれSPFかDKIMで通るようにします。設定の値は、各サービスの案内に書かれています。
  3. 48時間以上あける:Googleのヘルプでは、SPFとDKIMを設定してからDMARCを設定するまで、48時間以上あけるよう勧めています。その間に、2の方法でPASSになっているかを確かめます。
  4. p=noneのDMARCを足す:DNSの管理画面で、種類「TXT」、名前「_dmarc」(管理画面によっては「_dmarc.○○.co.jp」)、値に「v=DMARC1; p=none; rua=mailto:dmarc-report@example.co.jp」のような行を足します(example.co.jpは自社のドメインに置き換え)。「rua」は集計の報告の送り先で、数が多くなるので、Googleのヘルプでは報告専用の受け取り先を勧めています。
  5. 報告を見て、漏れを直す:報告やHP年齢診断、送ったメールの結果を見て、認証に通っていない自社の仕組みがあれば、SPFやDKIMを直します。
  6. quarantineへ進める:p=quarantineに変えます。Googleのヘルプでは、pct(ポリシーを当てるメールの割合)を低い値から始めて少しずつ上げる方法も紹介しています。
  7. rejectへ進める:問題がなければ、p=rejectにします。

p=noneは様子を見る段階で、偽のメールを止める力はありません。HP年齢診断でも「様子見」として注意を出します。p=noneで始め、報告を見ながら先へ進めることが目標です。

ホームページのDNS設定と同じ画面:既存のレコードを消さない

DMARCを足す画面は、ホームページの表示先やメールの受け取り先(MXレコード)を設定している画面と同じです。既存の行を消したり書き換えたりすると、ホームページやメールが止まります。

  • 作業の前に、今の画面を保存する:TXT、MX、CNAME、Aなど、すべての行を控えます。「v=spf1」や「_dmarc」の行がいくつあるかも見ておきます。
  • 分からない行は消さない:「google-site-verification」のような所有確認の行など、何かの認証に使われている行が入っていることがよくあります。
  • SPFは1つにまとめる:SPFの決まり(RFC 7208)では、1つのドメインにSPFの行を2つ以上置いてはいけません。2つあると、受け取る側で認証そのものがエラーになります。新しいサービスを足すときは、新しい行を作らず、今の「v=spf1」の行に「include:」を書き足します。
  • DMARCも1つ:「_dmarc」の行がすでにあるなら、新しく足さずに、その行を直します。

AKIMAが2026年10月に自社サイトを公開したときも、ドメインを管理しているバリュードメインの管理画面で、Googleのメールの設定や所有確認などの既存のレコードは消さずに残しました。そのうえで、問い合わせフォームのメールを送るサービス(Resend)が指定した認証用のTXTレコード(送信専用のサブドメインのSPFと、DKIMの公開鍵)を追記しています。メールを止めずにDNSを触る進め方は会社のドメインを移管する手順と注意点で詳しく説明しています。

メールを送るサービスが複数ある場合

社員のメール、問い合わせフォーム、請求書の送信など、会社のドメインで送る仕組みがいくつもあることがあります。

送る仕組み

SPFの扱い

DKIMの扱い

気をつけること

社員のメール(Google Workspaceなど)

今の「v=spf1」の行に、サービス指定の「include:」を入れる

サービスの管理画面で鍵を作り、指定の名前でTXTを足す

最初に整える。ここが通らないと、日々のメールに影響する

ホームページの問い合わせフォーム

サーバーやメール送信サービスの指定に従う

メール送信サービスなら、指定のTXTを足す

自動返信がお客様の迷惑メールに入っていないか、実際に送って確かめる

請求書・見積書、メールマガジンの送信サービス

サービスの指定に従う

サービスの指定に従う

差出人を会社のドメインにしているなら、必ず対象に入れる

SPFの決まりでは、確かめるときにDNSを調べに行く回数は10回までで、超えるとエラーになります(Googleのヘルプでも、include:は最大10個まで)。仕組みが多いときの方法の1つが、フォームや一斉送信のメールを「mail.○○.co.jp」のような送信専用のサブドメインから送ることです。AKIMAの問い合わせフォームも、送信専用のサブドメインからResendで送っています。こうすると、会社のドメインそのもののSPFの行に手を入れずに済みます。

ケース別の判断

HP年齢診断で「SPF・DMARCがない」と出た場合

会社のメールをどのサービスで送っているかを確かめ、SPFから設定します。DNSの管理画面に入れる人がいなければ、ドメインを管理している制作会社かサーバー会社に、この手順を見せて頼むのが早道です。

DMARCが「様子見(p=none)」のまま、何年もたっている場合

報告の送り先(rua)が誰も見ていないアドレスになっていないかを確かめ、自社の仕組みがすべて通っていると分かってから、quarantineへ進めます。

DNSをどこで管理しているか分からない場合

DMARCより先に、ドメインの名義と管理画面を押さえる必要があります。調べ方はドメインの管理者を確認する方法にまとめています。

メールは送らず、ホームページだけで使っているドメインの場合

送らないドメインも、名乗られれば偽のメールに使えます。総務省などの要請でも、送らないドメインを含めたDMARCの導入が挙げられています。メールを送らないことがはっきりしているなら、送ってよいサーバーがないことを示すSPFと、p=rejectのDMARCを置く方法があります。設定の前に、本当にどこからも送っていないかを確かめてください。

よくある質問

DMARCを設定したら、自社のメールが届かなくなりませんか?

p=noneなら、認証に失敗したメールもそのまま届けて記録するだけなので、届き方は変わりません。届かなくなるおそれがあるのは、漏れを直さないままquarantineやrejectにしたときです。

うちは小さな会社で、1日に5,000件も送りません。それでも要りますか?

Googleが1日5,000件超の送信者に求めている条件は当てはまりませんが、すべての送信者にSPFかDKIMは求められています。また、DMARCは自社を名乗る偽のメールから取引先を守るためのもので、送る量とは関係ありません。

次に確かめること

ドメインの名義やSSL証明書の期限など、止まると困る所をまとめて見直すなら自社ホームページの総点検ガイド、ホームページそのものに異変がある場合はホームページが改ざん・乗っ取りされたらをご覧ください。AKIMAのHP制作では、ホームページを切り替えるときもメールの設定には触れず、既存のレコードを残したまま表示先だけを変えます。DNSの設定を含めたご相談はお問い合わせから受け付けています。

この記事の一次情報

・AKIMAのHP年齢診断は、ホームページのドメインに公開されているTXTレコードをDNS over HTTPSで読み、ドメインそのものの「v=spf1」の行と「_dmarc」の「v=DMARC1」の行の有無、DMARCのp=(none/quarantine/reject)を判定しています。両方ない→重い指摘、DMARCがない・pがない→注意、p=none→「様子見」の注意、DMARCは止める設定だがSPFがない→注意、SPFがありDMARCがquarantineかreject→設定済み。DKIMは判定せず、他社のドメインを借りたアドレスやDNSが読めなかったときは項目を出しません(実装 hp-replacement-platform の browser-worker/src/checks/extra.ts の mailItems・ownDomain と probe.ts の readMailAuth で確認)。 ・AKIMAが2026年10月に自社サイトを公開したとき、バリュードメインの管理画面で既存のレコード(Googleのメールの設定、所有確認など)を消さずに残し、問い合わせフォームのメール送信サービスResendが指定した認証用のTXTレコード(送信専用のサブドメインのSPFと、DKIMの公開鍵)を追記しました。AKIMAの問い合わせフォームは送信専用のサブドメインから送っています。

出典

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